その末段、「私」は、30年ぶりに再会した「長」とのエピソードについて、
「私は初めから終りまで、長の名を呼びすてにしていたし、長もしごくあたりまえのように
それを受けいれていた。数えてみると、私が浦粕を去ってからまる三十年になる。(中略)
その彼を「長」と呼び、彼が「おう」と答えるとき、私の心には三十年という時間の距離はなかった」
と感慨深げに記しています。
…ただ、再会した「長」には「蒸気河岸の先生」の記憶は無かったそうです。(笑)
written by masahiko ito/sankei-eye